今そこにある表現規制ー早稲田大学タテカン問題ー
伊藤陽平新宿区議会議員の質問
昨日、9月20日、新宿区議会で行われている第3回定例会において伊藤陽平区議会議員の質問がありました。
私が注目していた質問は、「表現規制問題」についてです。
いま、我らが早稲田大学ではタテカン規制の問題が現在進行形で起こっています。
これは、大学当局が敷地面積250㎡以上の建物に緑化の義務を課す新宿区の
みどりの条例
を理由に、早稲田大学戸山キャンパス諏訪通り沿いの立て看板が設置できなくされようとしている問題です。
この問題の概要については以下の記事を読めばわかりやすいと思います。
一部の学生は、当然「緑化」の名の下に行われている立て看板規制には反対しています。
今回、伊藤議員の質問では吉住新宿区長に対し、「新宿区みどりの条例」が早稲田大学戸山キャンパスの文化である立て看板へ影響していることについての区長の見解と、緑化された箇所への臨時的な立て看板設置は認められるかどうかの二点について質問してくださいました。
区長と伊藤議員の質疑は以下の通りです。
伊藤 新宿区みどりの条例が、早稲田大学戸山キャンパスの文化である立看板へ影響を与えていることについて、どのようにお考えでしょうか。
緑化された箇所に新歓期等の臨時的な看板を設置することは「新宿区みどりの条例」で規制の対象には入らないと考えていますが、いかがでしょうか。
吉住区長 新宿区みどりの条例と早稲田大学戸山キャンパスの立看板についてです。
区では、新宿区をみどり豊かなうるおいと安らぎのあるまちにするため、平成3年度から、敷地面積が250平方メートルを超える建築等の計画時に、みどりの条例に基づき、接道部や敷地の空地等への緑化を義務付けています。
この中で、接道部緑化は、道路に直接面する植栽の造成に加え、既存樹木の保存を接道部緑化とみなす措置や壁面緑化などの選択肢も用意しています。
みどりの条例に基づく緑化は、事業者の様々な工夫により緑地の創出を目指すものであり、臨時的なものも含め、立看板そのものを規制する制度ではありません。
この区長の答弁を見て、私は違和感を覚えざるを得ませんでした。
なぜなら、区長の答弁と早稲田大学がこれまで行ってきた説明には食い違いがあったからです。
以下でそれについて説明していきます。
早稲田大学のこれまでの主張
早稲田大学のこれまでの主張は以下のPDFからご覧いただけます。
これは早稲田大学より学生全員に送られてきたメールに添付してあったものです。
大学の主張と新宿区長の答弁の矛盾点
この文書には
「 本学は、新宿区内の施設所有者として、「新宿区みどりの条例」の対象となり、敷地と接道部の間に設 けるフェンスは敷地内に後退させて、接道部の前面道路側を緑化することが義務付けられています。」
とあります。これによると、「みどりの条例」によってフェンスの後退と接道部の前面緑化は義務である。
というふうに読めます。
しかしながら、区長の説明では
この中で、接道部緑化は、道路に直接面する植栽の造営に加え、既存樹木の保存を接道部緑化とみなす措置や壁面緑化などの選択肢も用意しています。
となっています。これは明らかに早稲田大学側の説明と相違します。
フェンスの後退は義務ではなく一つの選択肢に過ぎず、ほかの選択肢も用意してあると新宿区は言っているのです。
これで早稲田大学のタテカン規制の論拠は木っ端微塵に崩壊したように見えます。ほかの選択肢を採用すれば、タテカン規制は免れられる。それにもかかわらず、ほかの選択肢があることを学生に隠し、タテカン規制をろくな説明もなく強行してきたわけです。新宿区の条例を「悪用」したと言われても仕方がないのではないでしょうか。
では、新宿区がタテカンに影響しない範囲での緑化を承認しているのにもかかわらず大学側の新宿区との協議の結果タテカン規制は免れないという主張している点はどうなるのでしょうか。
新宿区との協議とは何だったのか
*ここからは、邪推も多く入っています。大学側が協議内容をほとんど学生側に開示していないからです。
「1立看板の設置を理由に緑化が義務付けら れている接道部の長さを緩和することは可能か。2一部の立木を伐採して立看板が見えるように設置す ることは可能か。」
ということについて新宿区と協議したと言っています。
新宿区からの回答は、
「新宿区みどりの条例」第 21 条第1項ならびに「同条例施行規則」第 18 条第1項および第2項ならびに同条別表第 2 に定められている基準に対して、特例として緩和的な措 置は新宿区として認められない
ということでした。
ここからは推測なのですが、大学側は「接道部緑化」に対してだけ緩和措置が採用できないか新宿区に問い合わせたのではないでしょうか。
新宿区からしてみれば、ほかの緑化方法があることは当然知りつつも、「接道緑化をするならば条例の通り、緑化は完遂してくださいね」。と回答するほかなかったのではないでしょうか。
大学側が、ほかの緑化方法があることを知りつつも「接道緑化」に対してだけ協議を行ったとしたならば、それは新宿区から「接道緑化は完遂してください」。という言質を取ると同時に、「早稲田大学としてタテカンを守るために新宿区と協議したが無理だった。大学は悪くない」。というアリバイ作りの2つの効果を狙っていたのかもしれないと考えてしまいます。
大学には一刻も早い協議内容の開示が求められます。
今後のタテカン問題の展望
早稲田大学の秋学期は9月の下旬からスタートしていきます。学生が、大学に戻ってくるわけです。大学には「大学側がタテカン規制の根拠にしていたものが崩れ去った」という事実があるわけですから、当然、大学に問い合わせに来た学生に対して、正直で公正な説明が求められます。
また、根拠が崩壊したわけですからタテカン規制は不可能だと考えてもいいかもしれません。しかし、大学側が開き直り、タテカン規制を推し進めてくる可能性も捨てきれません。
これからもタテカン問題については学生による大学側の動きの注視が必要になっていくと思います。
私も何か新たな動きがあれば記事にしていきたいと思います。
書いた人
伊藤さん (@sakuramaru1215)